跳訳雑感

ゆるオタの備忘録です。

荒ぶる季節の乙女どもよ。に荒ぶる

※原作未読組、8話視聴時点での雑感です。
※備忘録なので未視聴勢には意味不明だと思います、1話は無料なので見てください。

個人的に夏アニメが豊作なのですが、久しぶりに恋愛ものを見たら見事にやられました。
生々しさに定評のあるマリーがアクセル全開やりたい放題、という感じの本作、今は毎週楽しみなんですが、1話で脱落しかけました。まあその、性愛の汚さをここまでハッキリ描くのかと。幼馴染の究極プライベートとか、誰が見たいんだと。もちろん2話以降も爽やかでは無いので、視聴するのに体力を使っています。配信待ち勢なので火曜日には見れるんですけど、平日に見ると色々支障をきたすので、休日にしか見られないぐらいには。また、ターゲット層といいますか、ちょうど中高生ぐらいが一番嫌悪感を持ちそうなわけで、よく地上波に辿り着けたなと、そんな感じの作品です。なのに絵は可愛い。まさに「やめてくれ……俺たちの逃避先を汚さないでくれ……」状態です。気持ち悪いですね、でも面白いんですよ。
これだけ性愛の生々しさを、しかもアニメなので誇張して、表現するわけですから、当然バランスを採るための何かが必要になります。本作はギャグでそれを行っているのですが、表面上しかバランス採れてないんですよね。初見は笑うんですけど、後で意味を考えてゾッとするというか、もはやホラーなので夏にピッタリです。一話の和紗ダッシュがまさにそれで、初見はまあツッコミを入れて笑いましたよ。でも話が進むにつれて、和紗は性愛の醜さだとかを受け入れる途中だということがわかり、もうあれは現実逃避でおかしくなっていたのだな、という解釈しか出来なくなってくるんですよ。泉君の痴漢モノAVから電車が好きなことを思い出すとか、なんとか性欲から目を逸らそうとしている感じで、痛々しくて見てて辛い。両想いになりましたけど、この状態で汚さと向き合うことを考えると恐怖です。もちろんこの傾向は和紗だけでなく、みんなどこかホラーなんですけど、それを行き過ぎた青春として書いてしまうマリーの作家性が何より怖いという。視聴に体力が要るというのは、そういう意味でして、百合ぶっこむし略奪フラグ立つしで、残り4話なのに全く安心できなくて、まあ楽しんでます。
推しは本郷ちゃんで、一番安心してみていられるのも彼女なんですが、客観視が強いという割と珍しいキャラクターでして。偏屈で地味な子が少コミをやるとどうなるのか、という感じでかなり新鮮です。テーマとしては他人事から自分事になるという話だと思うのですが、それでも彼女の場合は最後まで客観視が消えない気がするんですよね。それはどこまでも物事をネタとして解釈しがちな、作家としては有益な才能のせいなのでしょう。ただ、それだけではなくて、ミロの強固なロールプレイング性とでも言いましょうか、彼の主人公感の無さが大きな要因になっているように感じます。「イメクラじゃねーぞ」とツッコミたくなるんですよ。適当にあしらってあげている、とか、振り回されている、とか、そういう感じではないんですよね。後で脳内再生したときに使える、自分好みの「教師と生徒のそれっぽいプレイ」をひたすら蓄積しているというか。別にそこに居るのはミロ自身じゃなくても良いし、もちろん本郷ちゃんじゃなくても良い。たまたま自分に本郷ちゃんが興味を持っただけというか。これは最初の出会いからして、本郷ちゃんが「未知を恐怖なく教えてくれる存在」を求めていて、別にミロ先生の顔が好きとか言動が好きとか、そういう個人的な要素を求めていたわけじゃないので、なおさらミロもそれを察して良いように利用しているというか。ただ、合宿あたりから顕著になるんですが、だんだんとそういうプレイをするうちに互いにらしさを求めるようになっており、本郷ちゃんは誰でもよくならなくなってきているんですね。ミロがちゃんとそれに応えるのか、はたまた誰でもいいんだろと言い放つのか、大変楽しみです。
まあ、推しがあんな変態と結ばれるのもアレなので、失恋でもいいんですけどね。